薬園に木の芽起しの雨煙る とよみ 春泥にわざわざ足を踏み入れぬ 恵子 家業継ぐことに迷はず卒業す 明美 小流れに点々と蜷生まれをり 周雄 陣形をもはや組めざる残り鴨 広治 揚雲雀付けつ放しのラジオ鳴る 直之 万葉の歌碑を囲みてたんぽぽ黄 ひいづ 陽光を返す鉄傘鳥雲に 元二 尼御前の男勝りや垣直す 由紀子 旅立ちに岸の柳の芽立ち急 道子
春一番吹き散らばりて浮鴎 斉 木の芽風散策さそふ湖岸かな 志峰 おむすびの並ぶ形や山笑ふ 淑子 芽柳の不忍池に触れんとす 静子 手間ひまをかけて楽しや雛御膳 裕子 春雨や朝湯帰りに濡れしまま 信正 苔庭の落ちに落ちたる白椿 一宏 御大師の杖が噴かせし井の温む 尋嘉 風道へ高く差し揚ぐ干し鰈 あや子 土筆野に同じ病の友と摘む 厚
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