天よりの使者かあめんぼ雲に乗る 志峰 殊に香の濃きたそがれの花蜜柑 あや子 厨まで罷り候蟇 一弘 秩父路の札所巡りや風薫る とめ子 コーランに目覚めて旅の明易し 一照 早乙女の荼枳尼天へと集まり来 由紀子 風起こるたびに囁く蘆青し 忠利 鮎釣の互ひにことば交さざり 英子 ブロンズの乳房の濡れや虎が雨 倉太 江ノ電に触れんばかりの四葩かな つむぎ
雑魚寝して山頂小屋の明易し 裕子 黒南風に鉄拐屏風立ちにけり 明美 朝日さすまでにと急ぎ草を引く 豊治 篝火の薪にこだはる鵜匠かな みどり じやがたらの花果てしなく北の道 継鳥 菜園に色とりどりの夏帽子 一宏 ひしめいて闇に流れる蛍かな 智 庭園の抜け道塞ぐ蜘蛛の糸 辰也 白ペンキ剥げをりし柵草を刈る 操 経蔵に入るや否や黴匂ふ 和子
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