一湾を狭しと開く花火かな     紫峡
下町の窓を震はす大花火 ザザ虫
海鳴りのひびく奥津城盆用意 静子
生身魂今は昔のモガとモボ かもめ
現役の医師でありしよ生身魂 明美
聞く耳をもたぬ激論秋暑し   志峰
敗戦忌今も瞼に焼野原 嘉弘

子供らの駈けて踊のはじまらず 紫峡
大根蒔く女手に足る庭の畑 英子
牧場の白きテラスに秋の人 恵子
一瞬の脇見に星の流れけり 留美子
朝顔や手術の後の深呼吸 志峰
秋涼し町家の長き通り庭 一宏
ままごとの筵にこぼれ赤まんま つむぎ


8月2006
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