秋灯下闘病日記克明に みどり 七堂の伽藍跡とや露しとど 喜代子 露けしや文机ひとつ子規の居間 千枝子 露天湯に酌んで至福の月見酒 忠利 昼のバス待つは吾のみ花すすき 豊治 昼の虫艀ばかりの船溜り 隆雄 胸元に白檀匂ふ秋扇 瓔子 幼稚園閉鎖となりて虫すだく 裕子 小流れにのけぞつてをり枝垂れ萩 斉 灰色の雲は西へと野分前 貴美子
アイロンの余熱冷めゆく夜の長し あや子 死の砂漠越えて安堵の月仰ぐ ロジー 庭を掃く露しとどなる竹箒 とめ子 ケセラセラとは行かず秋思かな なぎさ 月明りベランダへまた物干しへ サダ子 たくさんの穂に日の当り猫じゃらし継鳥 豚草とよばれてもなほ秋の草 一照 電子辞書頼りの夜学なりしかな 修三 自販機の窓の結露や霧の駅 領一 千じんの谷より仰ぐいわし雲 怜子
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