綿虫の飛ぶ赤人の五輪塔       真千子
子の帰り待つ飴色に大根煮て 道子
帰り花白亜の像に開きけり 明美
宙吊りのごと大綿の二つ三つ 領一
猫車すぐ満杯や大根引く 多賀子
逃げる子に纏はる煙落葉焚 智
ご近所の落葉もろとも落葉焚 元二
綿虫の夕日に溶けてしまひけり 拓水
猫眠る日向の匂ひ返り花 一弘
雨上がり土黒々と冬耕す 厚子

悲しみの然らぬ顔して茎漬ける 修三
神おはす出羽三山に時雨かな ザザ虫
越の地の分厚き板の冬囲ひ とめ子
小春日に兄弟の靴干し並ぶ 継鳥
葉を落し街道の空晴れ渡り 柳影
高速路沿ひて大根掛け連ね 裕子
断崖に潮の響き神送り かもめ
兄嫁の仕種は母似大根干す 恵子
廻廊に子らの絵展示七五三 みどり
アリゾナの小春空とぶ気球船 ロジー


11月2006
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