母国語で童謡唄ふ新年会 直之 初鏡喪服の襟を正しけり 淑子 読初と決めし一冊まだ読まず 道子 初買ひの歳時記重し旅鞄 静子 懸想文幄舎の陰に開きけり 由紀子 日脚伸ぶ書肆の長いす満席に 裕子 冠雪の比叡を染めし夕茜 順子 石柱は文豪の墓碑冬の梅 辰也 凍土に罅割れしたる流人墓 かもめ 風花のあえかに消ゆる空青し 春生
まなかひに白馬岳置く初湯かな 康邦 初孫のいないいないばあの初笑 一照 足跡の乱れに乱れ雪の原 柳影 はにかみて差し上ぐ人と鷽替ふる たけし 風花のビルの底ひに舞ひにけり 明美 気まぐれな雪がちらちら日脚のぶ マサエ 断崖に白く迫り出し滝凍てる 周雄 トタン屋根溝といふ溝氷柱垂れ 厚子 山門をどつと出て来し寒行僧 一宏 入植の頃の廃屋軒氷柱 多賀子
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