木漏れ日に紛れ出でたる地虫かな 静子 狩り場跡ならん阿騎野のすみれ濃し 真千子 御大師の杖が噴かせし井の温む 尋嘉 京の宿古き雛に迎へられ 道子 燕来る上七軒の深庇 ひいづ 啓蟄や貸農園の抽選日 斉 陽光を返す鉄傘鳥雲に 元二 土筆生ふ気ままに傾ぐ石仏 拓水 内裏雛飾る螺鈿の小箪笥に 由紀子 豪快な駒の尿や阿蘇の春 一弘
土筆野に同じ病の友と摘む 厚 小流れに点々と蜷生まれをり 周雄 黒染の衣まとひて卒業す 修三 木曽節に手拍子合はせ山笑ふ ザザ虫 享保雛襟元のぞく紅綸子 つむぎ 取り寄せし塩を自慢の菜飯かな 康邦 廃校は記念公園初つばめ 継鳥 揚雲雀付けつ放しのラジオ鳴る 直之 手間ひまをかけて楽しや雛御膳 裕子 おむすびの並ぶ形や山笑ふ 淑子
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