戴きし甘茶さほどに甘からず 尋嘉 合掌に始まる朝の遍路宿 智 囀りや音を殺して雨戸繰る 元二 辛夷咲く空にひと刷け飛行雲 一弘 風光る沼のさざなみ高ければ 一照 人込みの花の吉野へ一人旅 修三 太宰読み夢二を観ての春愁ひ 康邦 当直の明けたる街路囀れり 雅紀 つむじ風時計回りに落花舞ふ 聖樹 路地裏に迷ひ込んだり紋白蝶 直之
花の雨虚子の櫓に雨宿り とめ子 うとうとと腕枕して日の永き 春生 山藤の見え隠れして九十九折り 継鳥 花ちるや童謡うたふ母と子と 信正 足摺の日の出に急ぐ遍路かな 順子 鶏に雀隠れの雀翔ち 柳影 かがり火の朧となりし露天の湯 あや子 子雀のちよんと飛んでは首傾ぐ みどり 藤古木傾きつつも房数多 サダ子
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