からたちの実を守るかに棘の刺す 英子
無人駅ひとり待つ間の肌寒し 春生
両雄が睨めくらして菊人形 継鳥
秋風や天守にとどく鳶の声 信正
銀座にも稲荷のありて柳散る 柳影
草紅葉風止まざりし弥陀ヶ原 幸子
秋祭り段々畑の桟敷かな 裕子
詠み人に団栗落とす天狗風 倉太
新米を並べ野菜の直売所 淑子
並びたる家族の如き案山子かな 留美子

露天湯に半身浴やそぞろ寒       元二
北嵯峨の煙一条秋の暮 拓水
刺のある枝ごと柚子を剪りとれる あきひろ
赤い紐白い紐あり柿吊るす 多賀子
蕎麦を打つ平家の裔や山紅葉 宣子
百姓の知恵さまざまの鳥威し マサエ
干すものはすべて干したり冬支度 一照
功名の頬の槍疵菊人形 志峰
紅葉狩笠置の九十九折れみちを 真千子
秋の空露座の大仏天を突く 直之


10月2007
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