森閑の番外札所初しぐれ       たけし
小春日の元町そぞろ歩きかな なぎさ
大根を引き抜く呼吸ありと言ふ マサエ
傾きて走る江ノ電海小春 ザザ虫
鋏もて絵馬外さるる神の留守 あきひろ
没の句を諾ひながら落葉踏む 静子
猫車大根の葉を引きずりぬ 恵子
木枯しに攫はるるごと日は西へ 瓔子
日向へ切り干しの笊移しけり 真千子

鏡井戸鏡をなさず散紅葉        宣子
雪虫や窯塞ぐ土捏ねをれば 由紀子
大胆にまた臆病に踏む落葉 修三
路地ひとつ曲れば闇や酉の市 隆雄
縁側に置く消火器や北塞ぐ 操
絵手紙の絵筆買ひ足す文化の日 ひいづ
返り花空に溶け入るごとく咲き 裕子
城址へといよいよ急の落葉径 喜代子
雪ぼたる下山のベルの鳴りにけり 志峰


11月2007
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