口笛に老鶯声を合はせくる    春生
紫陽花の小ぶりな毬を供華となす 淑子
入梅の前ひと仕事ふた仕事    三重子
城跡や一の郭は夏の草      一照
短夜やナースコールの鳴り止まず 志峰
揚梅の饐えて匂へり石畳     静子
往診の山越えて来し梅雨晴間   信正
蛍狩千年杉のあたりまで     順子
座禅堂出でて蛍の闇にをり    智
腕捲る迷彩服や草を刈る     日田路

椎匂ふ結界の門くぐりけり   辰也
湯上りのタオル片手に河鹿聞く 多賀子
鮎釣るや筏の難所たりし瀬に  あきひろ
水馬散らし進みぬ手こぎ舟   宣子
湖畔宿フロントに吊る蛍篭 由紀子
ブランドの合羽を纏ふ梅雨の犬 斉
山小舎のせんべい蒲団梅雨湿り 静子
的もなく草矢次々放ちけり   マサエ
夏草や海へと下る遊歩道 一宏
祖父のごと十薬吊す齢かな 嘉宏


6月2008
   
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