口笛に老鶯声を合はせくる 春生 紫陽花の小ぶりな毬を供華となす 淑子 入梅の前ひと仕事ふた仕事 三重子 城跡や一の郭は夏の草 一照 短夜やナースコールの鳴り止まず 志峰 揚梅の饐えて匂へり石畳 静子 往診の山越えて来し梅雨晴間 信正 蛍狩千年杉のあたりまで 順子 座禅堂出でて蛍の闇にをり 智 腕捲る迷彩服や草を刈る 日田路
椎匂ふ結界の門くぐりけり 辰也 湯上りのタオル片手に河鹿聞く 多賀子 鮎釣るや筏の難所たりし瀬に あきひろ 水馬散らし進みぬ手こぎ舟 宣子 湖畔宿フロントに吊る蛍篭 由紀子 ブランドの合羽を纏ふ梅雨の犬 斉 山小舎のせんべい蒲団梅雨湿り 静子 的もなく草矢次々放ちけり マサエ 夏草や海へと下る遊歩道 一宏 祖父のごと十薬吊す齢かな 嘉宏
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