さりげなき一輪挿しは野の芒 広治 急行が過ぎれば元の虫の闇 直之 故郷の海の色なる秋刀魚買ふ マサエ 師の句集読む秋灯を引き寄せて なぎさ 広々と露置く長者屋敷跡 柳影 投げ入れし籠の薄に風生まる みどり さつきから一本調子虫の声 恵子 幾度も茶を汲みに立つ夜長かな たけし 果樹園の幟巻かれし厄日かな 元二 秋気澄む矢印に沿ふ奥の院 ひいづ
揺れあひて盛りの萩の道はばむ 千枝子 葛の花雨に濡れたる外厠 正勝 寝転べば天が動きて大花野 一子 哲学の椅子とて坐せば秋思かな 喜代子 望郷の唄に聴き入る夜長かな 明美 さ揺らぎの大揺れとなり秋桜 幸子 身綺麗にして敬老日迎へけり 修三 微酔に一際高し虫の声 周雄 遺跡掘る人の帽子に赤蜻蛉 倉太 長々と敬老の日の祝辞かな 春生
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