桜の芽ささやきかはす段葛      隆雄

札所へはまだまだ遠し蕨摘む    たけし

尖塔の十字仰げば鳥帰る        恵子

リハビリに妻の肩借り青き踏む  順子

陣形をもはや組めざる残り鴨    広治

柴垣のところどころの藪椿      一宏

万葉の歌碑を囲みてたんぽぽ黄  ひいづ

盛り土の乾きし罅や牡丹の芽    操

天を指すとんがり帽子辛夷の芽  和子

屋根石の見えて北窓開きけり    静子

旅立ちに岸の柳の芽立ち急       道子

木の芽風散策さそふ湖岸かな     志峰

木の芽晴メタセコイアの並び立つ 斉

城壁に描くがごとく蔦芽吹く     裕子

園芸の本が先生剪定す           みどり

卒業子置傘三本持ち帰り         倉太

椿落つ隣の犬はよく吠える       智

春泥にかまはず先を急ぎけり     辰也

桟俵頼みの綱と雛流す           幸子

百棟の屋根替へ賛否持ち越され   ロジー