雨戸繰る音に動ぜず囀れる 豊治 啄める鳥に踏まれて麦青む 操 ヘッドフォンより音漏らし春眠す 淑子 花吹雪馬上に騎手の立ち上がる 元二 花御堂囲み混声合唱団 周雄 馬場うらら厩舎に鳩の出入りす 順子 うららかや波音ばかり浮見堂 喜代子 尾根道に吹き上がりくる飛花落花 智 遮断機の下りし踏切蝶渡る 幸子 花に酔ひ晋山式の高野辞す 由紀子
水草を取り囲みたる蝌蚪の紐 正勝 長持ちす花に西行しのびけり 和子 故あらむ残りし鴨の寄り添ふは 晴義 酔ふほどに句談義はずむ花筵 尋嘉 心経のどよもす花の蔵王堂 一宏 贅尽くす弁当銘酒花見舟 かもめ 菜の花やペダル軽々土手の道 倉太 雑草に埋もれて都忘れかな 隆雄 あけぼのの庭に散らばる雀の子 春生 揺れ動く香りほのかな藤の花 三重子
俳誌ひいらぎhttp://www.hiiragi-hp.jp/