夕富士を望む峠や月見草	       かもめ	
竹生島へと虹の橋のびにけり 明美
時化気味の海へ繰り出すヨットかな忠利
草いきれ薙ぎ倒されてゐる草も なぎさ
群れなせる馬いななくや夕立中 晴義
礼を言ふ所作の涼しや老婦人 とめ子
遠きより耳鳴りの如蝉時雨 みどり
帰省子の楽の洩れゐる部屋明かり 静子
船長は若き娘や船遊び 宣子
カーテンに江戸風鈴のあふらるる 元二

雲の峰落日に列正しけり	       雅紀	
建て直し決まりし家に帰省かな 恵子
青田風初めて訪ひし道遠く 智
細き葉の垂れて空蝉すがりをり 領一
へとへととなりて戻りし日焼けの子多美子
滝の音聞こえて険し行者径 千枝子
正座の子居並ぶ広間夏期講座 喜代子
憚からぬ鼾放ちて昼寝かな 春生
滴りに道のぬかめる切通し 隆雄
手さぐりに肌掛けさがす朝涼し 三重子


7月2009
   
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