葉隠れに狭庭の柚子の色づきぬ 淑子 秋雨の夜は街灯光るのみ 倉太 尺八の流るる野点薄紅葉 裕子 鹿の群草食むときは争はず 柳影 松手入まづ天辺の空拡げ 豊治 老妻と子供に返り葡萄吸ふ 元二 せんべいを買ふや擦り寄る鹿の数 操 葛城は指呼の牧場や秋高し 修三 松手入すみたる御苑逍遥す 明美 禅院の静けさ破る鵙高音 千枝子
大学のポプラ高々馬肥ゆる あきひろ 屈み聴く水琴窟や木の実降る 一宏 十字架のごと首伸べて鳥渡る 雅紀 末枯れや外人墓地に遠汽笛 隆雄 紅色のゲートル巻きて馬肥ゆる 恵子 草虱犬の尻尾につき易し 多美子 看板の倒れしままに崩れ梁 とめ子 紅葉狩父の健脚あなどれず 節江 新松子待合室に置かれけり 正勝 野菊咲く通学路なる造成地 ロジー
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