指貫に思い出のあり春着縫う    厚子
チョコレートケーキを焼くや外は雪 淑子
地酒かけ大雪像を取り壊す     あきひろ
吉と出て血の騒ぐなり初みくじ   斉
新調の足袋の固さも初稽古     道子
染めたての髪黒々と初鏡      とめ子
彼の手を借りて結ひたる初みくじ  柳影
木槌では割れぬパックの鏡餅    周雄
初富士の薄紅にビル谷間      智
ふともらす友の一言初笑      三重子

胼薬蓋して我の今日終る     多賀子
長生きをしてくださいと初便り  章子
手に句帳杖は不要と梅探る    静子
屠蘇に酔ひ重たき口を開きけり  修三
ロザリオの少女寒紅引きにけり  日田路
かしこまる記念写真や初句会   春生
除雪車の手間取るほどや今朝の雪 柳二
武家門の頭上注意や雪しずれ   順子
日脚伸ぶ下校の列の崩れがち   幸子
徐々に減る夫のクスリや春を待つ ひいづ


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