彼の人に見られたくなき汗の顔 修三 足止めて風を待ちたる橋涼み 三重子 通り雨鬼灯市の行き帰り あきひろ 亀甲に罅割れしたる旱苔 みどり 避暑旅行日取り重なる誘ひかな 順子 風そよぎエーデルワイス唄ふかに 和子 雲海の果てにぽつんと富士の影 斉 茄子漬けの紺の鮮やか食進む 千枝子 冷房車先づは帽子を脱ぎにけり 周雄 警策の乱打のごとき大夕立 日田路
ラジオ体操十年ぶりや朝涼し ひいづ 側溝の激流と化す夕立かな 嘉宏 雲海の紅一点の日の出かな 雅紀 木漏れ日に苔の滴り煌めけり 智 洗ひ髪無造作に結ひひとりの夜 瓔子 甚平や毛脛の長き優男 晴義 闘竜灘風に畳みし日傘かな 由紀子 旧市街見下ろす聖母像涼し 章子 留守番の丸かじりするトマトかな 宏治 睡蓮の並びて咲くや池の中 留美子
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