彼の人に見られたくなき汗の顔 修三
足止めて風を待ちたる橋涼み 三重子
通り雨鬼灯市の行き帰り あきひろ
亀甲に罅割れしたる旱苔 みどり
避暑旅行日取り重なる誘ひかな 順子
風そよぎエーデルワイス唄ふかに 和子
雲海の果てにぽつんと富士の影 斉
茄子漬けの紺の鮮やか食進む 千枝子
冷房車先づは帽子を脱ぎにけり 周雄
警策の乱打のごとき大夕立 日田路



ラジオ体操十年ぶりや朝涼し ひいづ
側溝の激流と化す夕立かな 嘉宏
雲海の紅一点の日の出かな 雅紀
木漏れ日に苔の滴り煌めけり 智
洗ひ髪無造作に結ひひとりの夜 瓔子
甚平や毛脛の長き優男 晴義
闘竜灘風に畳みし日傘かな 由紀子
旧市街見下ろす聖母像涼し 章子
留守番の丸かじりするトマトかな 宏治
睡蓮の並びて咲くや池の中 留美子


7月2010
   
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