紐引けば赤き舌出す案山子かな 由紀子 ベンチにて推敲すれば色鳥来 和子 遠富士に紅の差したる秋入日 章子 冷まじや噴煙の灰頬を打つ 領一 杖借りて上がる石段紅葉狩 ひいづ 二階より見下ろす谷の紅葉濃し 道子 便利屋と呼ばれて今日は松手入れ とめ子 片方は見えず鵯鳴き交はす 宏治 猪垣のどこが入口皆戸板 あきひろ 黒塀や料亭の松色変へず 忠利
杣が家に一宿一飯蕎麦を打つ 静子 千年を経してふ楠や小鳥来る 尋嘉 古戦場跡なだらかや野菊晴 多美子 木の実降る訪ふ人もなき峠茶屋 晴義 ポケットに木の実とハート型の石 幸子 宮島の松の間に間に紅葉かな みどり この村は秘境と言はれ紅葉狩 ザザ虫 胡坐して木地士のすするとろろ汁 泰子 鵙の声暮れゆく空を惜しむかに ひかり 苔紅葉枯山水を彩れる 正勝
俳誌ひいらぎhttp://www.hiiragi-hp.jp/