御生家の坂は長しや青畝の忌 明美 松竹梅一鉢に足る年用意 元二 大広間雪見障子を高く上げ 操 塾の前子を待つ親は懐手 広治 雪吊の風に唸りて満を持す 豊治 ありつたけ布団を干して客迎ふ 淑子 袖口の殊に煤けし紙衣かな 由紀子 冬麗の朝や遠富士近く見ゆ 桂伸 横這ひの炎ちよろちよろ菊を焚く 静子 おでん種残るはいつも同じ物 真千子
鳥打帽目深に被り日向ぼこ 辰也 外出の二の足を踏む冬の雨 三重子 笹子鳴く護良親王墓どころ 隆雄 鷹の爪めきて真つ赤や冬木の芽 節江 冬かもめ雑魚漁舟を十重二十重 好博 年の市馴染みの露店減りにけり 晴義 リンクスや交す挨拶息白し 周雄 舷に頭突きくらはし冬の涛 柳影 カルメ焼めける茶色い霜柱 倉太 真つ赤なるセーターを着て上機嫌 日田路
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