若鮎は口青くして焼かれをり 和子 空に鳶舞ひ春の野に人溢れ 道子 手作りの苦労話や雛の前 柳影 啓蟄やエスカレーター点検中 豊治 唐門に添ひて五色の八重椿 一宏 念願の離宮拝観青き踏む ひいづ ペン措かず左手につまむ雛あられ 操 春の雨いつしか止みて鹿島立 倉太 電柱のなき街道や燕飛ぶ 順子 暖かな日を賜りて野辺送り 多美子
裏木戸に一輪咲いて藪椿 厚子 蜷の画く迷路は出口なかりけり 尋嘉 吊し雛揺らして稚児をあやしけり 修三 振り下ろす鍬に匂へる春の土 とめ子 揚雲雀まつすぐ歩く廃線路 日田路 春耕の畝黒々と雨上がる 智 湯治客驚かせたる春の雪 裕子 健脚を褒められもして山笑ふ 隆雄 尼寺の書院に飾る古雛 ひかり 啓蟄の貸農園にはしやぐ声 元二
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