石塊も墓碑の一つや露深し 忠利 虫すだく離宮に残る舟着場 操 「おおきに」と客を送るや秋袷 道子 貴船茶屋秋の七草さはに活け 順子 吊橋へすがりて垂るる葛の花 多賀子 萩叢に隠れ石仏忘れられ 柳影 神官も交じりて祝ふ敬老会 ひいづ 水澄みて水泡の影の流れけり 晴義 歌垣の川のほとりに草雲雀 倉太 高原のどの道行くも秋桜 泰子
庭の闇雨戸引く手に虫の声 サダ子 雨音に目覚めてよりの秋思かな とめ子 使われぬ大煙突や月明かり 広治 生きてゐる証とばかり虫すだく 春生 海またぎ高速高架月今宵 明美 月を見る窓一杯に夜風入れ 淑子 義経の産湯井戸とやちちろ鳴く 一宏 月天心水音たかき用水路 智 無造作に壺に活けたる芒かな 和子 虫鳴くや殊に業平塚あたり 宏治
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