燠白く残す竈や土間涼し         静子
魯山人旧居涼しや大藁家 節江
退院は嬉し炎暑の家なれど 淑子
昼寝より覚めて鏡の我を見る 元二
雷火消え闇を深める瀬音かな 忠利
滴りに乾く間もなき磨崖仏 隆雄
はたた神古りし雨戸のおぼつかな 幸子
玄関に誰の声なる昼寝覚め サダ子
端近な足湯をさがし避暑散歩 明美
食欲の無きをかこちてビール飲む 宣子

空蝉を載せし卵塔苔だらけ       倉太
登山靴揃へ脱ぎある足湯かな 多賀子
風鈴の短冊に書く私の句 智
かはたれの池に白々未草 喜代子
山頂の風は極楽氷菓食ぶ 瓔子
孫よりの暑中見舞に漢字増え 泰子
片陰に風の抜け道拾ひけり ザザ虫
炎昼をものともせずに芝手入れ 和子
聞き役を諾ひ母と端居かな とめ子
隧道にほつと一息涼しけれ 広治


7月2013
   
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