燠白く残す竈や土間涼し 静子 魯山人旧居涼しや大藁家 節江 退院は嬉し炎暑の家なれど 淑子 昼寝より覚めて鏡の我を見る 元二 雷火消え闇を深める瀬音かな 忠利 滴りに乾く間もなき磨崖仏 隆雄 はたた神古りし雨戸のおぼつかな 幸子 玄関に誰の声なる昼寝覚め サダ子 端近な足湯をさがし避暑散歩 明美 食欲の無きをかこちてビール飲む 宣子
空蝉を載せし卵塔苔だらけ 倉太 登山靴揃へ脱ぎある足湯かな 多賀子 風鈴の短冊に書く私の句 智 かはたれの池に白々未草 喜代子 山頂の風は極楽氷菓食ぶ 瓔子 孫よりの暑中見舞に漢字増え 泰子 片陰に風の抜け道拾ひけり ザザ虫 炎昼をものともせずに芝手入れ 和子 聞き役を諾ひ母と端居かな とめ子 隧道にほつと一息涼しけれ 広治
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