着膨れて変貌したり伊達男 忠利 懐手解きて吟味す萩茶碗 喜代子 沼涸るるこの四つ足の跡は何 節江 庭石と覚しきものに注連を張る とめ子 手際よき嫁の奉行や鮟鱇鍋 裕子 着ぶくれの背筋を正す茶の師匠 一宏 寄鍋を囲み絆を深めけり 修三 里神楽神々の撒く祝ひ餅 章子 佇んでをれぬ寒さの吟行地 みどり 灯台の崖を覆ひて葛枯るる 操
熱燗をたつた一本自祝とす 直之 メモに無き物を買ひ足し年用意 元二 我ながらよく働く手よ手袋す 淑子 宝前に心の煤を払ひけり 英二 粕汁にほつと一息歩かう会 幸子 底冷えの厨に並ぶ七つ竈 かもめ マンションのをちこち布団叩く音カネコ 寒けれど大道芸に人だかり 和子 手漕ぎ舟鴨の浮き寝を妨げず 宣子 犬つれしひとは目深に冬帽子 広治
俳誌ひいらぎhttp://www.hiiragi-hp.jp/