着膨れて変貌したり伊達男   忠利
懐手解きて吟味す萩茶碗    喜代子
沼涸るるこの四つ足の跡は何  節江
庭石と覚しきものに注連を張る とめ子
手際よき嫁の奉行や鮟鱇鍋   裕子
着ぶくれの背筋を正す茶の師匠 一宏
寄鍋を囲み絆を深めけり    修三
里神楽神々の撒く祝ひ餅    章子
佇んでをれぬ寒さの吟行地   みどり
灯台の崖を覆ひて葛枯るる   操

熱燗をたつた一本自祝とす   直之
メモに無き物を買ひ足し年用意 元二
我ながらよく働く手よ手袋す  淑子
宝前に心の煤を払ひけり    英二
粕汁にほつと一息歩かう会   幸子
底冷えの厨に並ぶ七つ竈    かもめ
マンションのをちこち布団叩く音カネコ
寒けれど大道芸に人だかり   和子
手漕ぎ舟鴨の浮き寝を妨げず  宣子
犬つれしひとは目深に冬帽子  広治


12月2014
        
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