片陰を拾ひて巡る城下町 由紀子 時の鐘鳴るやに噴水踊り出す とめ子 打たせ湯に全身任せ暑気払ふ 忠利 停泊の外国船に西日濃し 一宏 里人は雲の峰見て雨を知る ザザ虫 航進む大夕焼けの島目指し 宣子 下りには頼みの綱の登山杖 幸子 食進む隠し味とす茗荷の子 静子 噺家は雑談をする手に扇子 泰子 寺町に百日白のつづく道 柳影
湯上りの無念無想の端居かな 元二 日は西に仕事じまひの水を打つ 桂伸 帰省してしみじみ仰ぐ夜空かな 操 熊笹の道一列に登山かな 宏治 藍浴衣匂ふ程よき抜き衣紋 瓔子 庇なす大岩ありて登山道 静子 まずビール全員の手の上がりけり 恵子 近道を薦めるガイド玉の汗 公平 氷像のごとく乱立雲の峰 雅紀 どれほどの縄が要るのか鉾立てる 和子
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