ひぐらしの後ずさりして鳴き出しぬ 多美子 ぎやあぎやあと騒ぐ烏や秋暑し みどり 原爆忌老いし語り部慟哭す 柳影 花火待つ一期一会の人親し とめ子 上げ潮に運河の匂ふ夜の秋 忠利 旅疲れ癒す朝顔濃紫 静子 卆寿なほカラオケ通ひ生身魂 桂伸 払暁の稲妻走るカリブ海 泰子 盆棚の茣蓙青々と匂ひけり 多賀子
西行庵跡形のなき寺の秋 操 歌垣の山ふところにつくつくし 倉太 新しき畳匂ふや涼新た 喜代子 絵燈籠点りて浮かぶ師の献句 隆雄 戦争を知らぬ子ばかり魂祭 周雄 寒暖計鰻上りや秋暑し 章子 花火終え煙に霞む月明かり 晴子 帰宅路の思ひ掛けない揚花火 恵子 縁先にならぶ庭下駄星月夜 豊治
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