やや傾ぎ大雁塔の夕焼くる 淑子 単線の振り子電車や飛騨涼し 静子 筑波嶺のあたり騒がしはたた神 倉太 原生林めく山径や滝めざす 領一 参道へ水打つて店仕舞かな 章子 団扇風話佳境となりて止む 幸子 病窓に見下ろす妻の日傘かな 柳影 児等の見ぬ遊具の辺り草いきれ 英二 暗がりに銀歯光らす閻魔かな あきひろ
空見上げ今日しか無しと梅を干す 三重子 竪穴の住居覗けば風涼し 裕子 片言の英語で汗の道案内 ひかり 草むしり日昇らぬうちと鎌を持つ サダ子 バス待つや避けやうの無き大西日 操 詩仙堂一期一会の端居かな ひいづ 郷に入り郷に従ひ焼トマト 千里 お品書き飛ばす風あり川床料理 宣子 眠たさを追ひ払ふべく髪洗ふ 晴子 長編の本をバッグに避暑の旅 恵子
俳誌ひいらぎhttp://www.hiiragi-hp.jp/