やや傾ぎ大雁塔の夕焼くる      淑子
単線の振り子電車や飛騨涼し    静子
筑波嶺のあたり騒がしはたた神  倉太
原生林めく山径や滝めざす      領一
参道へ水打つて店仕舞かな      章子
団扇風話佳境となりて止む      幸子
病窓に見下ろす妻の日傘かな    柳影
児等の見ぬ遊具の辺り草いきれ  英二
暗がりに銀歯光らす閻魔かな    あきひろ

空見上げ今日しか無しと梅を干す 三重子
竪穴の住居覗けば風涼し         裕子
片言の英語で汗の道案内         ひかり
草むしり日昇らぬうちと鎌を持つ サダ子
バス待つや避けやうの無き大西日 操
詩仙堂一期一会の端居かな       ひいづ
郷に入り郷に従ひ焼トマト       千里
お品書き飛ばす風あり川床料理   宣子
眠たさを追ひ払ふべく髪洗ふ     晴子
長編の本をバッグに避暑の旅     恵子


7月2016
        
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