月を待つ源氏絵巻の須磨に来て あきひろ 暗闇に吾は居るぞとつづれさせ ザザ虫 大玻璃戸開けて月待つ宇陀の宿 喜代子 飴一つ舐めて続ける夜なべかな とめ子 手招きに誘はれ入りし芒原 豊治 塾の子を迎ふる母や月の路地 ひいづ もてなしの薄茶賜り秋遍路 倉太 夜は長し旅の支度に余念なし 瓔子 爽やかや笑顔の奉仕道普請 尋嘉 晩学の初心忘れず秋灯下 裕子
秋気澄む琵琶湖のかなた比叡山 広治 束の間の露の輝き人の世も 多美子 月の出や心くばりの紙燭置く 英二 露天湯に四肢を伸ばすや虫時雨 泰子 月蝕に深まる闇や虫浄土 宣子 息継ぎのごと秋蝶の翅打ちぬ 章子 台風のシーズン終り窓掃除 周雄 自己流に生きて矍鑠敬老日 和子 水澄みて魚住む川に戻りけり 元二 ポストまで歩みをゆるめ月の道 道子
俳誌ひいらぎhttp://www.hiiragi-hp.jp/