皮一枚脱ぐや即ち今年竹     尋嘉
蓑虫庵入るやいなやに蚊にささる 眞千子
水門は離宮の名残りあやめ咲く  章子
追へば逃げ追はねば止まる蛍かな みどり
明らかに現実逃避草を引く    淑子
餌咥へ蟻の韋駄天走りかな    隆雄
嬉しげに曳かれ行く犬梅雨晴間  カネコ 
青葉雨庭は雑草天国に            瓔子
五月雨に裸足参りの湯殿山    まさこ
見はるかす鏡光りの代田かな   周雄


沈みては浮かぶ白蝶花菖蒲    操
万緑の中吊橋の一文字      喜代子
行儀よき園児二列の夏帽子    宏治
宿下駄の集まる川辺蛍飛ぶ    豊治
芭蕉庵昔のままに草茂る     晴子
老若の阿吽の呼吸溝浚へ     領一
魚獲る青鷺を待つカメラマン   道子
園丁の指の速さよ草むしり    公平
とれとれの鮎の塩焼まこと美味  和子
自転車のライトに光る蜘蛛の糸  厚子


6月2017
        
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