別院の静けさに鳴く笹子かな   柳影
片頬は熱し車窓の冬日濃し    真千子
着膨れて椅子に沈みておりしかな 元二
転がしてある白菜は干すつもり  淑子
谷戸も奥二軒ならんで蒲団干す  宏治
焼芋の笛こだまして神の森    静子
炉辺に聞く秩父訛や峡泊まり   章子
呼び込みも客も着ぶくれ黒門市  尋嘉
冬雲に届かんばかり高野槙    隆雄
フレ−ムの中に地声を憚りぬ   とめ子

踏切の開くを待てり懐手     みどり
園庭に寒さ知らずの子の姿    三重子
夕方の年の市にて買うおせち   サダ子
鴨の陣投込む餌に総崩れ     広治
葱畑育ち良き畝悪しき畝     千里
性懲りもなく歳末の宝くじ    幸子
相槌は同意に非ず懐手      公平
唯でさへ狭き通路や年の市    英二
朝練の学生の群息白し      まさこ
紅白の勝ち負けを書き日記果つ  ひいづ


12月2017
        
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