教室の窓の明るき春の雪     裕子
強東風や人のまばらな魚市場   倉太
夕東風や屋形船出づ隅田川    晴子
雛の間に北山杉の床柱       隆雄
御殿雛飾る旧家や土間暗し    尋嘉
雛飾り老女並んで写真撮る    サダ子
横向きの加減がよろし男雛    信行
心して見れば土筆のそこここに  章子
からし種ほどの芽吹きの雪柳   多美子
よくぞまあ実生五年の芽吹き急  幸子

竹矢来してお水取待つばかり   眞千子
香煙にゆらぐ瓔珞涅槃変     操
凸凹の畝の土塊地虫出づ     領一
池畔行く柳並木の芽立ちそむ   桂伸
ものの芽の堅き土割る力かな   とめ子
踏青や忘れし歌の思ひ出づ    聖樹
踏み出しの大きく一歩青き踏む  英二
青き踏む一言主の願叶ひ     千里
ふわふわの土に仕立てて根分かな 元二
天地に声転がして揚雲雀     豊治


3月2018
        
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