柳絮飛ぶ平城宮跡の広さかな 喜代子 三井寺の鐘に安らふ遍路かな 由紀子 杉花粉ものともせずに奥の院 和子 夕闇の車窓に映る花辛夷 晴子 ボンネットバスに列なす園うらら 章子 坪ほどの畑に生きがい種を蒔く とめ子 天日干し所狭しと風光る 元二 辛夷散る谷戸に眠れる異人墓 操 花冷えに肩を寄せあふ羅漢さま ひいづ 風光る港の見ゆる丘に佇ち 桂伸
春の空時計回りの鳶かな 千里 隧道の入口出口山桜 英二 春眠を突如破りし地震苛烈 広治 目借時他人の肩に首預け 柳影 靖国の老いし桜の芽吹きけり 宏治 菜の花の黄の蕩け出す夕べかな 隆雄 径といふ径に花屑飛鳥山 瓔子 子雀や何を見つける土手あたり サダ子 石臼に残る湯気の香草の餅 裕子 雨乞ひかはた妻恋ひか鳴蛙 みどり
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