畦真直ぐ近江平野に代を掻く　　領一
沈みては浮かぶ白蝶花菖蒲　　　操
分校の跡でしば鳴く不如帰   　 倉太
背丈ほど伸びて夏草手に余る　　サダ子
菜園の土の匂ひも梅雨入りかな　元二
蜘蛛の囲をゆるりと捲きし竹箒　幸子
薫風に孔雀は羽を広げけり　　　隆雄
鮎解禁集ひ釣竿自慢かな　　　　広治
大極殿趾こんもりと茂りかな　　英二
順番のあるかに鳰の子等進む　　章子

苗売りや道を狭めて大繁盛　　　裕子
人を呼ぶ葦簀掛なる直売所　　　とめ子
参籠の慣れぬ雑魚寝や明易し　　柳影
宿下駄の集まる川辺蛍飛ぶ　　　豊治
草を引く一人の時間持ちたくて　淑子
宮参り黒羽二重に緑さす　　　　公平
切り花を貰ひででむし現はれし　晴子
磨崖仏膝下累々梅雨茸　　　　　尋嘉
緑蔭や良き談笑の輪の出来て　　みどり
出迎への眉目よき沙弥や業平忌　由紀子