三十三間堂の片蔭人の列 ひいづ 雑踏に財布を失くし汗滂沱 裕子 お風入れ遺愛の墨は唐渡り 瓔子 裏返る蝉のどつこい生きてをり 多美子 仙人掌の花一日の命終へ 周雄 夾竹桃咲くに任せて空き家なる 隆雄 貴船川床誂へ向きと椅子席へ 幸子 客乗せてイケメン車夫の汗光る 晴子 灼くる道郵便バイクゆらめき来 尋嘉 満天の星を願ひて梅を干す 眞千子
大西日まともの部屋に案内され カネコ 化粧なくされど艶ある日焼顔 三重子 蜜豆や歩行者天国靴擦れす 恵子 一掬の清水に憩ふ山路かな 喜代子 浦に向く水難の碑の灼けるまま とめ子 汗を見ぬ達者な老いの無為無策 英二 夏帽子少しは若く見られけむ 豊治 梯子段尽き天守閣風涼し みどり 図書館に涼を求めて列をなす 信行 玉の汗涙と拭ふ甲子園 公平
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