翩々の雲の往き来や芭蕉林     智壽子
休み田の黄金の波は泡立草     とめ子
秋の墓地一羽の鴉しきり鳴く    倉太
幻に聞く一弦や須磨の秋      由紀子
続けざま大音響や揚花火      操
遠目には稲田に紛ふ泡立草     英二
天の川願ひは汝も健康と      サダ子
今朝の秋牛乳壜の触るる音     聖樹
踊る阿呆血をひく吾は見る阿呆   ひいづ

つくつくし聞こえて止まる写経の手 尋嘉
磐余野の道の小田なり稲の花    真千子
手を繋ぐ刹那も花火上がりけり   舞
手捻りの壺に一輪涼新た      喜代子
山上の松虫草に旅名残       章子
花ことば情熱とかやカンナ炎ゆ   桂伸
秋の蝶地をなぞるかに低く舞ふ   和子
秋来る書店にずらり京都本     広治
野路の秋道に迷ふたかも知れず   幸子


8月2018
        
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