ひとり言言うては笑ひ四月馬鹿   カネコ
寺町は城郭めきて松の芯         由紀子
江戸川の黄昏ながし菜の花黄     元二
まだ一分それでも開く花筵       周雄
花疲れ足湯で癒す三姉妹         ひいづ
待ち兼ねて灯す雪洞花は二分     尋嘉
抜け参りめきしひとりの花見かな 柳影
大川や屋形船へと花吹雪         広治
小さき靴片方残る花莚           恵子
観音にまみゆ湖北は遅桜         瓔子

吉野への各駅停車花の舞ひ        眞千子
恋みくじ結ばれてゐる桜かな      舞
糸柳暖簾の如く潜りけり          三重子
築山を覆ひ馬酔木は鈴を振る      隆雄
緩やかに坂は曲がりぬ躑躅咲く    信行
幾重にも散り敷く色や藤の花      千里
風紋を伝ひ歩きや汐干潟          章子
田一枚揺るがして鳴く蛙かな      淑子
遠足の子に加はりて由来聞く      英二
囀の広き城址や逍遥す            領一


4月2019
        
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