響きくる靴音怖し虫の闇     とめ子
この句会女ばかりや西鶴忌    倉太
風騒を得んと高きに登りけり   英二
鉦叩思ひ出しては二打三打    瓔子
空仰ぎ家路の楽し月見月     尋嘉
石垣は見附の名残ちちろ鳴く   宏治
屹立の青石映す水の秋      隆雄
芒群れ巻向川に靡きけり     眞千子
磯の香の三浦三崎や鰯干す    桂伸
仕込み水てふ湧水の澄みにけり  淑子

さはやかや指揮者と奏者握手して 幸子
テレビ消し静かにしたき夜長かな 広治
秋気澄む峰の薬師の鐘聞けば   喜代子
水澄むと鯉飛び跳ねて見せにけり 操
読み書きが出来有り難し秋灯   カネコ
長き夜やパソコンの冷え指先に  信行
文机を俄かに月の膳となす    多美子
廃校の遊具を囲む曼珠沙華    三重子
揺れ軋む終の住処ぞ台風裡    千里
搾乳の灯の朝霧に滲みけり    柳影


9月2019
        
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