果物に食欲の湧く子規忌かな   柳影
つくづくと浸る夜長の歎異抄   桂伸
門前に小流れ疾し秋の水     周雄
懐メロの余韻にひたる敬老日   幸子
牧水の歌碑の砌や虫すだく    とめ子
赤とんぼひときは赤し空真青   尋嘉
門川の深さ如何ほど萩枝垂る   操
監督も子等も熊手や野分跡    公平
朝まだき参道を行く秋遍路    ひいづ
夜業又夜業の昭和懐かしむ    英二


ベビーカーを乗り出す幼草の花  広治
神南備の里に燃え立つ曼珠沙華  真千子
萩咲くを待ちかね寺の案内見る  喜代子
ひとり言言ひつつ待ちぬ寝待月  カネコ
とんぼうの四方より湧くや橋の上 章子
竿の先風にひれ伏し赤蜻蛉    千里
廃校の遊具を囲む曼珠沙華    三重子
筑波嶺を遠見の浦の鯊日和    宏治
琴の音にまだ出ぬ月を恋ひにけり 隆雄



9月2020
          
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