老幹といへども葡萄たわわなり 和子
鈴生りの柘榴に鋏入れにけり  瓔子
葡萄棚夢二生家は二百年    信行
秋麗の源平池に鳶の笛     章子
山裾を黄金に染むる棚田かな  晴子
手入れ良き名園の土手茸生ふ  領一
戒壇の濠に蓮の実飛ぶ夕べ   由紀子
中千本今は紅葉の行宮址    尋嘉
抜きん出て風に抗ふ敗荷    隆雄
勇ましや万灯率ゐ舞ふ纏    周雄


天高し児は旗降りて横断す    厚子
羊腸の坂を山湖へ紅葉狩     操
誰が置きし椎の実五つ木の椅子に 宏治
秋晴や木曽路に微笑まふ道祖神  広治
御仏を訪ひ秋篠の秋惜しむ    喜代子
九十九折案山子の多き里に出づ  多美子
空谷の木曽路たどれば山粧ふ   桂伸
我ながら良き出来栗の渋皮煮   淑子
南禅寺一会の人と秋惜しむ    ひいづ
朝寒や機嫌斜めの膝小僧     元二



10月2020
          
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