手捻りの猪口にも菜や雛の膳    由紀子
急流の渦の真中へ落椿       瓔子
義仲寺の魚板を濡らす木の芽雨   眞千子
青石の句碑を囲みて牡丹の芽    章子
頬被り昔の上司畑を打つ      ひいづ
風さつと煌めく芹の流れかな    宏治
腰越状したたむ像に春の雨     とめ子
童謡を流し町挙げ雛まつり     尋嘉
一時も翼休めぬ親燕        晴子
黄砂来るスカイツリーの失せにけり 周雄


燕来る令和の空を忘れずに     桂伸
待合室寄贈座蒲団あたたかし    英二
四肢伸ばす亀の浮寝や水温む    領一
椿山より移植せし椿艶       幸子
芽柳の連獅子のごと振り乱る    千里
献木に吾も一施やあたたかし    和子
達筆な祖父の代筆受験絵馬     恵子
鳥雲にふと口を突く「北帰行」   広治
合格を聞きし電話で泣き笑ひ    元二
散らばるは光源氏といふ椿     淑子



3月2021
          
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