梅雨霧の這ふリンクスに第一打 章子 強風に煽られてゐる黒揚羽 宏治 薫風の駅舎がカフェ無人駅 幸子 緑蔭の忍び足めく太極拳 領一 手入れ良き旧家の庭に千草群れ 和子 果樹園の試食の広場蚊遣り焚く 三重子 緑陰や屋敷神へと石の橋 由紀子 池の洲にあやめ一色咲き揃ふ 柳影 藍染めの家紋小さめ夏暖簾 眞千子 先頭も後尾も不明蟻の列 操
ぼつてりと紫垂らし花菖蒲 淑子 風抜ける京の町家の夏座敷 広治 古民家の垣根に垂るる蛇の皮 隆雄 立ち籠むる聖なる煙梅雨のミサ 千里 緑蔭にウクレレを聞く昼休み 恵子 鳩時計声のくぐもる梅雨入かな 瓔子 荒川の菖蒲田愛づる昼餉かな 周雄 白南風や離宮を包む夕汽笛 晴子 まなかひに万緑の山蕎麦すする とめ子 木下闇推理小説読み耽る 信行
俳誌ひいらぎhttp://www.hiiragi-hp.jp/