梅雨霧の這ふリンクスに第一打 章子
強風に煽られてゐる黒揚羽   宏治
薫風の駅舎がカフェ無人駅   幸子
緑蔭の忍び足めく太極拳    領一
手入れ良き旧家の庭に千草群れ  和子
果樹園の試食の広場蚊遣り焚く 三重子
緑陰や屋敷神へと石の橋    由紀子
池の洲にあやめ一色咲き揃ふ  柳影
藍染めの家紋小さめ夏暖簾   眞千子
先頭も後尾も不明蟻の列    操


ぼつてりと紫垂らし花菖蒲   淑子
風抜ける京の町家の夏座敷   広治
古民家の垣根に垂るる蛇の皮  隆雄
立ち籠むる聖なる煙梅雨のミサ 千里
緑蔭にウクレレを聞く昼休み  恵子
鳩時計声のくぐもる梅雨入かな 瓔子
荒川の菖蒲田愛づる昼餉かな  周雄
白南風や離宮を包む夕汽笛   晴子
まなかひに万緑の山蕎麦すする とめ子
木下闇推理小説読み耽る    信行


6月2022
          
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