虚子句碑の隠るる丈の紫苑かな  章子
三輪山を離るる月に合掌す    真千子
秋草の茂れる弥生遺跡とぞ    幸子
軒下に唐黍を干す鄙の家     和子
恙なく招待受くる敬老会     ひいづ
釣果なき無為の半日鰯雲     柳影
ひもすがら降りみ降らずみ昼の虫 瓔子
颱風禍仮設の風呂に笑顔の子   舞
霧籠めの蔵王連峰町薄日     操
子規庵の糸瓜水採る人もなし   隆雄


ため息をつくや高値の初秋刀魚  英二
新築のビルの植込み虫の声    恵子
秋草やその名皆目知らねども   元二
有り無しの風にざわめく糸芒   晴子
満月の雫と称し一人酒      信行
道の駅西瓜小突かれどほしなる  淑子
独り居や到来西瓜とにらめつこ  まさこ
展望の眼下秋桜咲き初む     三重子
黄昏の沼辺のベンチ虫集く    千里
山門にわびを添へたる芒かな   周雄



9月2022
          
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