大晦日明かり煌々塾の窓         恵子
枯芦の跋扈と言はむ城の濠       領一
トロ箱に小さき鱈の目糶の朝     千里
布衣の身もやはり必要日記買ふ   和子
歳晩の忙中閑やコンサート       幸子
ご神水掬はむと脱ぐ手套かな     章子
鴨散りぬ脅すつもりはなけれども  淑子
葛湯吹く夫の真白き長寿眉       眞千子
英霊の碑へと冬日の燦燦と       とめ子
妻編みしセーター愛用五十年     尋嘉


内濠に即かず離れず浮寝鳥      操
お台場の夕陽に機影開戦日      まさこ
辛口の句評も楽し納め句座      ひいづ
初雪を喜ぶ児等の燥ぐ声        三重子
黴菌を遺棄するごとくマスク捨つ 柳影
全身に香煙浴びて札納め        隆雄
雪吊や遺愛の松の威風なる      晴子
天晴れなV字編隊鴨飛来        広治
逆立ちの鴨にピントを合はせけり 宏治
枯木立綾なす影を踏み歩く      瓔子


12月2023
          
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