メール句会添削実例集
メール句会入選作品の中から小路紫峽先生の添削例をまとめました。
入選句 |
原句 |
囀りを心地よしとし寝過ごしぬ | 囀りを心地よしとし寝過ごしし |
幹裂けて四百年の藤香る | 裂けてなほ四百年の藤香る |
肩車されて掴みし花の枝 | 肩車されて掴みし桜かな |
春愁や五七五を玩び | 春愁の五七五を玩び |
白子干す即かず離れず鴉をり | 白子干す即かず離れずゐる鴉 |
鬼やらひ終るや否や戸締りす | 鬼やらふや否や妻の戸締りす |
気に入りのパターを磨き日向ぼこ | 気に入りのパターを磨く日向ぼこ |
ゴルファの膨らむポッケットに木の実 | ゴルファの膨らむポッケット木の実かな |
眠れぬは老いたる証夜の長し | 眠れぬは老いたる証夜長かな |
掌に数へ金魚の出荷かな | 掌に数ふ金魚の出荷かな |
薫風の怖し吊り橋引き返す | 薫風も怖し吊り橋引き返す |
春一番乱れし茶髪指で梳く | 春一番乱れし茶髪は指で梳き |
いつの間やすつかり減りて残る鴨 | いつの間やすつかり減りし残る鴨 |
初句会恋占ひの余興あり | 恋占の余興のありて初句会 |
霜焼の手のパソコンの講師かな | 霜焼の手のパソコン講師かな |
尼様を通す道とて雪掻きす | 尼様を通す道だけ雪掻きす |
七草の足しに小川の芹を摘む | 七草の足しにと小川の芹を摘む |
ふる里の方を指さす秋遍路 | ふる里の方を指さし秋遍路 |
灯の消えし工業団地虫時雨 | 灯の消えて工業団地虫時雨 |
へなへなの傘を盾とす野分かな | しがみつく傘を盾とす野分かな |
庭先に見ゆる駒草避暑ホテル | 庭先に見ゆる駒草避暑夕餉 |
燭台のさまの噴水とまりたる | 燭台のさまに噴水とまりたる |
滝壷の深さどれほど瑠璃をなす | 滝壷の深さどれほど瑠璃色に |
操舵室強き西日を遮らず | 操舵室西日遮ること出来ず |
芭蕉庵円座にあるは忘れ物 | 芭蕉庵円座にありし忘れ物 |
しぶき上ぐ荒磯の岩に燕とぶ | しぶき上ぐ荒磯の岩の燕かな |
草庵の木戸をくぐりし夏の蝶 | 草庵の木戸より出でし夏の蝶 |
伏目なる乙女に鍋の紅緒結ふ | 伏目する乙女に鍋の紅緒結ふ |
弓なりの竿に光りし鯵釣るる | 弓なりの竿に光りし鯵を釣る |
母の日や婿より届く小盃 | 母の日や婿より届く小さき盃 |
万緑や槌音四方に谺せる | 万緑や四方に谺す杣の槌 |
ビロードに真珠の雫薔薇の雨 | ビロードに真珠の粒や薔薇の雨 |
母の日や長持ちせよと鉢の花 | 母の日に長持ちせよと鉢の花 |
神木の樹齢千年注連を結ふ | 神木の樹齢は千年注連を結ふ |
彫像は泥まみれなり秋出水 | 彫像は泥の姿や秋出水 |