第78回 虹の会 東京大学構内吟行

平成20年11月16日



参加者15名
天気小雨
句会場アカデミー向丘


赤門


安田講堂
◇かつての東大紛争の安田講堂は静寂で平和になりいい時代になったと思います。(一子)

◇安田講堂の入口は紛争の跡を残してあると聞いた事がありますが、それがあの異様な正面の模様かと思いました。(辰也)
◇三四郎池の中島の紅葉が見事でした。(隆雄)

◇三四郎池は、こんなところにこんな自然が残っているのか不思議と思われる位置にある。一周したつもりが、途中であったらしく方向を間違いあやうく迷子になるところだった。(淑子)

◇加賀藩邸の庭園の一部といわれる三四郎池の正式名称は「育徳園心字池」。池の形が「心」という文字をかたどっている事にあるという。小説は何度か読んだ記憶はあるが、実際見たのは初めてで、セピア色にけむる泉水は明治の頃と変わらず、三四郎は恋に迷っていたのであろうか。(一子)

◇三四郎池は思いもよらず朝靄に包まれ紅葉も一層美しく、しばらく佇み句作も忘れて池に映った紅葉や錦鯉を見ていました。(とも子)

◇三四郎池も紅葉には少し早かったが、静かなたたずまいで落ち付きました。(辰也)

◇あいにくの時雨の一日だったが、そのお蔭で大学の中は人が少なく紅葉し始めた三四郎池はすばらしかった。この東京の真ん中にこのような静かな山と池が百年変わらず残されているのは信じられない気がする。(周雄)


三四郎池

山口青邨の句碑
◇大好きな青邨の「銀杏散るまつ只中に法科あり」の句碑が落ち葉の中にたっているのに遇え至福の一時でした。(ひで子)

◇青邨の句碑にうまく出会えた。美しい青石に句が刻まれていた。(隆雄)

◇三四郎池のほとりに山口青邨の”銀杏散る”の句碑があると聞き、目指したが探せずしまい。仲間の方に教わりやっと念願かなった。俳句をしていなければ一生縁のなかった場所に足を踏み入れることが出来、幸せです。(章子)
◇日曜日のせいか学生の姿が少なくて静がだった。学生食堂に立ち寄ったが、満員で利用する時間の余裕がなかったのが残念だった。(隆雄) ◇黄落には少し早かったが、銀杏落ちており手はさみと袋をもって、銀杏を拾う人を見かけた。(辰也)
構内 銀杏並木

構内 欅並木
◇古く重厚な校舎が印象的だった。学生はやはりいまどきのと思われる若者が多かった。将来の日本を担って下さいと祈る思いだった。(なぎさ)

◇キャンパスの殆どの建物が最近の真四角の鉄筋コンクリ−トでなく落ち着いた黄褐色のタイル張りで通路の天井がゴシック風(?)なのもすばらしい。(周雄) 
◇医学部を歩いていると運良くベルツ・スクリッパ両先生の像に巡り合った。〈ベルツ・スクリッパ並びて日脚伸びにけり〉は青畝先生の御句。二人仲良く並んでいた。(隆雄)


ベルツ・スクリッパ像

小路紫峽先生選
水澄めり三四郎池と親しまれひで子
校章でありし銀杏の黄葉す好子
休日の東大鵙の天下かな
赤門出誇りとしたり木の葉髪好子
吟行の杖代りとも時雨傘ひで子
紅葉かつ散るも動じず池の鯉淑子
学び舎をつつみたる蔦紅葉す辰也
青邨の句碑は青石初しぐれ隆雄
三四郎池に着水はぐれ鴨好子
三四郎池へと下る落葉径瓔子
焼藷屋東大敷地横切りぬ淑子

 
参加者のひとこと
安田講堂の古びた建物に40年前の学園闘争を偲び、赤レンガ塀にからまる蔦紅葉を楽しみ、雨に濡れた落葉を踏む楽しさに浸れた最高の吟行でした。(ひで子)
雨もようの中、思い切ってはじめての東大へ。気温は思ったほど低くなく、厚着がちょっと荷物になった。東大は思ったより広く、といって句材が多いというほどでもなかった。(なぎさ)
日曜ではあるが、入試準備の何やらがあったらしく、割合に人が多かった。校内で写真を撮る人が多いのも目につく。そんないたくさん歩いたような気もしなかったが、句会場に入ると足のだるさがどっとやってきた。(淑子)
何の下準備もなくぶっつけ本番で少々戸惑いを覚えました。青邨の句碑も訪うことが出来、時雨の吟行も中々良いものだと感謝しています。(とも子)
雨もようでしたが、三四郎池は風情があって良かったです。都会にこのようなオアシスがあるのは心が落ち着きます。別の季節にも是非来てみたいです。(恵子)
ひと昔前東大病院に通院していましたが、今回久し振りに訪れました。構内は広く建物も重厚でさすが東大と思いました。夫が通った七徳堂は見つけられませんでしたが、三四郎池はますます茂りが深くなっておりました。(好子)
最近安田講堂占拠事件の折の東大学長の訃報があった。当時の心労いかばかりかと改めてお察しした。講堂脇の欅紅葉が鮮やかで古びた入口を浮き立たせていた。(享子)
これまで東京句会で吟行した時は丸ノ内線で来て、赤門から入っていたのを、新しく出来た南北線の駅は農学部の門の横で、東大の構内の広いのに驚きました。銀杏並木ばかりでなく欅の巨木も美しく紅葉し、歴史の古さに感銘しました。(操)
「本郷もかねやすまでは江戸のうち」という川柳を誰かに教えてもらった。何を商う店か知らぬまま探す。本郷通りに今は立派なビルの「かねやす」が聳えていた。江戸の頃は小間物を扱ったらしい。当時の御府内はこの辺りまでと思われる。夫が学生時代本郷に下宿していたそうで、当時から続くおでんと茶飯の「のんき」という店に連れて行ってもらったことがあった。東大の教授連にも評判が良かったらしい。その店も今は見当たらない。構内には落葉が降るばかり。(丹花)