3月のメール句会

伊藤 瓔子主宰選

3月15日締め切り分

6 引く鴨に離宮の雨のやはらかし 池田章子
12 檜皮板もろとも屋根の雪しづる 荻野操
22 早鞆に光る潮目や鳥帰る 田村公平
25 出勤や春のスカーフ靡かせて 池田宏治
28 寂聴の幅に影なす盆の梅 玉本由紀子
31 浮世絵の如き富士見ゆ春の旅 池田章子
33 満行の紙衣の煤や二月堂 飯島まさこ
45 冴返るレッカーを待つ事故現場 山ア淑加
47 種々雑多貸農園の芽吹きかな 南田英二
51 仲見世で買ふ粟おこし針供養 岸本隆雄
60 緩やかな流れに委ね雛送る 柴田香女
62 東風に乗り迷子放送届きけり 田村公平
67 寄りかかるための欄干春愁 関椿
76 無限大記号のごとし蝌蚪の紐 北崎広治
79 白蓮や主は朝の庭を掃く 池田宏治
80 信楽の甕に溢るる紅椿 小川晴子
83 畑人に一と声かけて土筆摘む 竹内柳影
84 菜の花の土手や流れは煌めいて 池田宏治
88 顔映る夜汽車の玻璃を雪つぶて 荻野操
以上 19句