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ゆき


金堂に雪くはしくも舞ふところ    阿波野青畝

束稲の雪紫に見ゆるなり       阿波野青畝

雪礫あへなく没し雪に帰す      阿波野青畝

雪の田の千枚能登の海に落つ     阿波野青畝

雪の湖井伊大老の居城立つ      阿波野青畝

地吹雪に天狼呆け失せにけり     阿波野青畝

ワイパーも今は必死の吹雪かな        阿波野青畝

くれなゐの雪は世界の屋根の峰    阿波野青畝

金鳳や衣笠の雪うすうすと      阿波野青畝

しづり雪誘ひ誘はれ淵に落つ     阿波野青畝

暁の針より痛き吹雪かな       阿波野青畝

無より有出てくる空の牡丹雪     阿波野青畝

雪飛べり近江の乙女髪包む      阿波野青畝

あのへんに浮御堂点く暮雪かな    阿波野青畝

巻物を口に神狐や雪の中       阿波野青畝

牡丹雪天に戻るもあるごとし     阿波野青畝

そろはねど秀衡椀や雪の宿      阿波野青畝

顔向けて信楽狸雪のくれ       阿波野青畝


雪嶺にひれ伏す端山雪を被ず     小路紫峽

雪渓の主峰を仰ぐ駅出口       小路紫峽


雪の富士見よとの徐行ひかり号     小路智壽子

バス曲るたび雪嶺のあらたまる    小路智壽子