平成25年メール句会全入選句

25年の特選を皆で選びましょう。
今年の入選句は367句、 良いと思う俳句、お好きな俳句を10句選んで、選句フォームよりお送りください。
締め切りは、1月10日、結果の発表は1月15日頃の予定です。
選句はこちらから


1	すつぽりと冬囲ひせしものは何	
2 と言ひて鉄砲玉や女正月
3 七日粥味のうすきにキムチ添へ
4 初戎一番乗りは車椅子
5 将軍にゆかりの離宮鷹放つ
6 追羽子の少女等路地を塞ぎけり
7 二度引いて二度も凶とは初神籤
8 軒ごとに年木積み上ぐ奥宇陀路
9 持ち寄りの和菓子洋菓子初句会
10 逝きし友指折り数ふ古暦
11 恙なく婚五十年初鏡
12 ごみ置き場わがもの顔の寒鴉
13 スコップの細きをうらみ雪を掻く
14 新しき絵の具買ひ足し春を待つ
15 節電や湯たんぽ抱いて早寝せむ
16 梅固き鄙びたる寺巡拝す
17 万葉の歌碑立つ道の若菜摘む
18 駅伝の結果見届け寝正月
19 耳もとで名を呼ぶだけや寒見舞
20 初詣離脱困難なりし列
21 年酒酌む父を越えたる子の酒量
22 老いたれば派手好みなる初鏡
23 このところとんと見かけぬ寒雀
24 海見える街に住まひて初茜
25 校庭の裸木樹齢いかほどか
26 除夜の鐘奉仕の寺で聞きにけり
27 血圧も正常値なり今朝の春
28 其中庵長居はできず隙間風
29 だんらんの涙流して初笑
30 三が日終えていそいそ仕事場へ
31 年酒酌むさいそくされし下戸の妻
32 初場所の声良く通る行司かな
33 百選の棚田を左右に青き踏む
34 遺されし針箱整理納め針
35 花柄をまとふマネキン春隣
36 我庭に掃くは隣家の年の豆
37 菜園の誰もが聞きし初音かな
38 枝折戸を開け放つ時初蝶来
39 托鉢に春まだ浅き日差かな
40 底冷えの厨に並ぶ七つ竈
41 陽の射して荒縄ゆるむ干大根
42 老いの身に光陰加速去年今年
43 馥郁と山ふところの梅林
44 おもむろに風呂敷を解く礼者かな
45 キャンパスは建築ラッシュ春を待つ
46 サーファーら春一番を気にもせず
47 踏青や平城宮址真中まで
48 猫の目の天気に惑ふ避寒かな
49 涅槃図に長さ不足や絵解き棒
50 鼬穴塗りこめ屋根を繕へり
51 まちがひをおそれて無口毛糸編む
52 道端の祠春泥まぬがれず
53 高層の窓開け闇に鬼やらふ
54 時間との勝負不乱に牡蠣を打つ
55 梅探る次の列車は二時間後
56 物芽出づ亀甲石の割れ目にも
57 木枯に吹く豆腐屋の喇叭かな
58 ひとすじの奇跡信じて春を待つ
59 ふわふわの土に仕立てて根分かな
60 もてなしの粥お代りす梅祭り
61 旗見えぬ建国記念日国憂ふ
62 帰るさの道の遠さや雪しまく
63 女人にも似て豊頬の寝釈迦かな
64 石垣の崩るる土塁草青む
65 水仙や日陰に並ぶ石仏
66 天満宮南面にして梅早し
67 鎌倉の遺跡発掘春の泥
68 冨士見ゆる丘一面の花菜かな
69 悴みて投げる賽銭ままならず
70 まだ登らざる初富士を眼下にす
71 七草の緑鮮やか粥旨し
72 園庭に寒さ知らずの子の姿
73 香煙の天誅墓所に初音聞く
74 茎立やバケツころがる貸農園
75 釣人の浮子の小揺れや春の風
76 日当たりのよき場所選び梅見かな
77 白酒に昔がたりの三姉妹
78 眠るには惜しと異国の春の宵
79 杉丸太退ければ下に草萌ゆる
80 薔薇の芽の太り日曜再び来
81 駅と駅つなぐ菜の花畑かな
82 弁慶の七返り坂梅探る
83 揚雲雀畝傍香具山空晴るる
84 ガスタンクの地球儀めくや斑雪
85 石段に置きたるごとく落椿
86 朝東風に産着眩しく干されけり
87 立ち話佳境となりてマスクとる
88 薔薇の芽の一斉に吹く赤さかな
89 醜草の中に見つけしたんぽぽ黄
90 つちふるや座る人なき園ベンチ
91 手に乗せてカメラ向ければ山笑ふ
92 蓬摘む母の早さに追ひつけず
93 幌馬車は未だ動かず青き踏む
94 鮟鱇の大きな貌に値札貼る
95 日溜りの草にうずもれ犬ふぐり
96 枕辺の明日流さるる雛かな
97 初節句家族の声を録音す
98 反り橋は一枚岩や水温む
99 キャンパスに静けさ戻り花は葉に
100 敷きつめる落花畳や飛鳥山
101 宮島や戸口戸口に花馬酔木
102 春風に背を押されての散歩かな
103 低き軒並ぶ町屋へ花吹雪く
104 蕗の薹摘むや疎水を遡り
105 物干しになびく襁褓や風光る
106 遊歩道夜の花見を禁じをり
107 かぎろひの丘より草矢放ちけり
108 どの道をたどりて行くも竹の秋
109 花は葉に病も徐々に回復す
110 三日留守愛づる間もなく花は葉に
111 春雨にけぶりし杉の美林かな
112 石垣は城の名残や花万朶
113 天守閣から見下ろすや花の雲
114 暮遅し句座終へ畑の一仕事
115 誉められて貰はれて行く春子かな
116 靴べらを持つ役もゐて御開帳
117 春窮の庭に鳥どち来ずなりぬ
118 小回りのきくバス花の島巡り
119 風光る湖一望の安土城
120 筍を貰ふついでに糠無心
121 師の句碑に囁く如く糸桜
122 径といふ径に花屑飛鳥山
123 ものの芽のひと雨ごとのほぐれかな
124 花莚A四サイズに畳まるる
125 高台のキャンパス包む花の雲
126 散り様も又兵衛桜名に恥じず
127 城垣のあはひあはひの草若葉
128 藤棚の陰にと寄れば香にむせぬ
129 味噌甕の味噌の香を嗅ぐ土間薄暑
130 マンホール小さき割れに菫咲き
131 一山を鹿の子絞りに山桜
132 鳥のこゑ千鳥ヶ淵の春惜しむ
133 立ち話とぎれて回す春日傘
134 堰堤を一気に越ゆる花吹雪
135 春昼の振子時計の音微か
136 春風や国旗たなびくレストラン
137 コンビニに祭衣のまま憩ふ
138 熊笹の道一列に登山かな
139 畦真直ぐ近江平野に代を掻く
140 歳時記に花の名多き五月かな
141 年甲斐もなくはなやかに更衣
142 意外にも長き板橋河鹿鳴く
143 放す牛食べ放題や草若葉
144 混雑を言ふてはおれず祭見に
145 争いのごとき高音や囀れる
146 本坊の式台飾る白牡丹
147 万緑の中に霊水湧く処
148 ゴールデンウィーク農家は忙しき
149 名にぞ知る藤房ながき神の庭
150 集合の合図に鳴らす草の笛
151 葉に隠れ日ごと膨らむ実梅かな
152 柴垣のあわひあわひに竹落葉
153 夕焼や千枚の田の水明り
154 風薫る浦を出でゆく白帆かな
155 仏法僧闇深うして行者径
156 薫風やポーズさまざま羅漢像
157 ハーブ撒き聖体祭の石畳
158 喜雨到る濡れて嬉しき畑仕事
159 遠目にも色付き見ゆる実梅かな
160 古民家の土間の湿りや梅雨に入る
161 四阿にあるわあるわの蟻地獄
162 子育ての鴉注意と園に札
163 麦秋や住宅街のど真ん中
164 立葵車軸の雨を受けて立ち
165 卯波とて津波に見えて恐ろしき
166 汗だくの婦警旗振る通学路
167 薫風や湖を眺めの羅漢達
168 千の田に水みなぎりて夏来たる
169 良く聴けば恋の駆け引き田植歌
170 シャツを這ふ毛虫取り合ふ山仲間
171 吟行や雨は降らねど卯月寒
172 青嵐勧請縄のちぎれさう
173 名にし負ふ浜に人見ず卯波立つ
174 筍を掘るや傘寿の力瘤
175 果てしなくひろごる近江麦の秋
176 児等の見ぬ遊具の辺り草いきれ
177 千枚の代田を染めて夕日落つ
178 谷若葉とみかうみして舟下る
179 根つからの打たれ強さや破れ傘
180 青山椒摘み取りし手に棘の傷
181 草茂る休耕田に開拓碑
182 風紋の薄るる砂丘月見草
183 カルメ焼き色に日焼けし露天商
184 雨蛙お地蔵様の肩の上
185 房多し今年こそはと袋掛け
186 明け易し手元のラジオつけしまま
187 乱れなしどこまで続く蟻の道
188 炎天下句帳片手に小半時
189 黄菅咲く植物園は谷の底
190 寺町に百日白のつづく道
191 積読の書を余さずに曝しけり
192 一書読み終らぬうちに帰省果つ
193 山と盛る曲り胡瓜や道の駅
194 宇陀路行く青田の風を受けながら
195 こんもりと城趾を隠す茂りかな
196 下校児を足止めにする大雷雨
197 待ち人を迎へ緑陰出でにけり
198 廃屋に今を盛りと濃紫陽花
199 藍浴衣匂ふ程よき抜き衣紋
200 これほどの旨きものなし桃を食ぶ
201 暗がりに銀歯光らす閻魔かな
202 薫風に孔雀は羽を広げけり
203 蛍舞ふ消灯なりし校庭に
204 山の湯の昏れて蛍の湧くごとし
205 日盛やたどる家並の深庇
206 裏畝傍どの道行くの田水沸く
207 ネットまだ張らぬにゴーヤ苗に花
208 万緑裡エンジンの音谺して
209 空見上げ今日しか無しと梅を干す
210 歳時記を広げしままの明易し
211 小半時行儀正しき夏書きかな
212 松籟の風の抜けゆく夏座敷
213 薬園に草の匂ひや蛇苺
214 うかうかと座るベンチの灼けてをり
215 迷ひ込む道玄坂の炎暑かな
216 子に孫に背中を見せて墓洗ふ
217 竪穴の住居覗けば風涼し
218 中華街脂の匂ふ暑さかな
219 盆棚の茣蓙青々と匂ひけり
220 流れ星帰心矢のごと募りけり
221 炎天下何はさてをき句会へと
222 かき氷一口ごとに目つむる子
223 夏帽を脱がれ和尚の恵比須顔
224 忌を修し薬膳料理暑気払ふ
225 根つからの巨人フアンや生身魂
226 魂棚に通知表まで供へられ
227 担ぎ手はみなアルバイト秋祭
228 矍鑠と戦時を語る生身魂
229 籐寝椅子友とし寧き老いの日々
230 秋立つや髪伸ばさうか止めやうか
231 日曜の昼の気だるさ凌霄花
232 農継がぬ決意と見えて帰省せず
233 むささびの穴と思はれ杉涼し
234 吊り橋の風にとばされ夏帽子
235 投句日を明日に控へて夜の秋
236 今朝秋の岬鼻に立つ潮煙
237 人工の浜に砂入れ海開き
238 這ひ上がりネットに下がるミニ西瓜
239 音の鳴る方は港よ遠花火
240 残照の谷戸の棚田に蟇の声
241 石走る滝をかすめて鳥の影
242 ふんだんに霊水使ひ夏料理
243 改札に花火の客の人の波
244 あんぱんで昼を済ませる子規忌かな
245 虚子立子句碑に横川の虫すだく
246 小さくても嫌ひは嫌ひ蛇の衣
247 新涼や白磁の皿に嵯峨豆腐
248 水亭は園の要や柳散る
249 西行庵跡形のなき寺の秋
250 大役の一段落や髪洗ふ
251 返信は絵文字一つよ爽やかに
252 篝火は燃え盛りゐて鵜飼果つ
253 飴一つ舐めて続ける夜なべかな
254 今年また同じ顔ぶれ松手入
255 灯を消すや庭にたかぶる虫の声
256 露天湯に飽かず見上ぐる揚げ花火
257 このあたり曽て御料場鮎を釣る
258 百選の棚田を区切る曼珠沙華
259 虚子塔に佇む横川時雨かな
260 秋の人髪は短く切られけり
261 新しき畳匂ふや涼新た
262 札所寺丈余の萩のたけなはに
263 虫浄土藤ノ木古墳ひと廻り
264 露けしや百八段の磴上る
265 歌垣の山ふところにつくつくし
266 敬老日健康靴は膝に良し
267 とんぼうや火の見櫓の高からず
268 露草の濡れて色増す朝の紺
269 ながらへて思いもよらぬ極暑かな
270 肩ひもの真白き跡に夏惜しむ
271 切れの良き男踊りや風の盆
272 稔り田をしかと見守る御製の碑
273 墓石の灼けて掃除のはかどらず
274 阿蘇山の外輪の中豊の秋
275 駅を出てわが影を踏む良夜かな
276 官兵衞を捕捉の城址小鳥来る
277 寄せ書きの色紙は宝生身魂
278 月天心話尽きざる媼たち
279 塾の子を迎ふる母や月の路地
280 祖父の綯う縄新藁の匂ひけり
281 鶴の島亀の島なる松手入
282 分校は跡形もなき草紅葉
283 ポケットの中まで泥がお芋掘り
284 響きくる靴音怖し虫の闇
285 地下水汲む長蛇の列や秋高し
286 拝観は四時迄なりと暮れ早し
287 愛弟子とラーメン啜る夜なべかな
288 行平(ゆきひら)の聴きけむ須磨の虫を聴く
289 道筋をひとつ間違へ暮れ早し
290 百選の名水なれど水澄まず
291 冷まじや阿蘇火口より硫黄臭
292 マンションのをちこち布団叩く音
293 海峡の主塔に佇ちて天高し
294 集まりは酒が目当てや月今宵
295 水上は分水嶺や崩れ簗
296 無造作に活けてこそよし草の花
297 恙なく丹精の菊宝前に
298 盛塩や釣瓶落しの銀座裏
299 渡船場の宿の灯りや水の秋
300 マネキンに着せるあれこれ冬支度
301 開発の進む山裾鵙猛る
302 被災地の畦に一叢曼珠沙華
303 旅立ちの機首を上ぐるや鰯雲
304 マンションに空き部屋増えて夜の寒し
305 救援の迷彩服に草虱
306 老いひとりガラス窓拭く野分あと
307 もてなしの薄茶賜り秋遍路
308 今日もまた朝の挨拶落葉掃く
309 旅立ちの夜はしきりに地虫鳴く
310 センサーで点る門灯暮早し
311 夜は長し旅の支度に余念なし
312 秋気澄む琵琶湖のかなた比叡山
313 色鳥に誘はるるごと庭に出づ
314 神の留守わがもの顔の鴉かな
315 爽やかや笑顔の奉仕道普請
316 しぐぐるや龍馬の像も所在なげ
317 バス待つは寒しと歩く向かい風
318 濠端にはとバスの列柳散る
319 時雨るるをものともせずに娘車夫
320 白鳥来湖畔のレストラン混みぬ
321 また一人欠ける法事や身にぞ入む
322 京の旅急かす北山しぐれ雲
323 湖風に小判散らしの木の葉かな
324 十三塔残る廃寺やすがれ虫
325 草紅葉踏みて古墳を辿りけり
326 朝寒や有馬の川の湯の匂ふ
327 晩学の初心忘れず秋灯下
328 この日和逃がすまじとて布団干す
329 時雨るるを一興として京の旅
330 切り抜きの記事読み返す夜長かな
331 背丈超す菊を咲かすや小学生
332 托鉢の脚絆にもあり草虱
333 目つぶしの海の落暉や秋澄めり
334 丹精の菊をいただき供華となす
335 日当たりや柚子のたわわに枝垂れて
336 払暁の稲妻走るカリブ海
337 起重機で量る南瓜のコンテスト
338 多からずかてて小振りや冬薔薇
339 赤ワイン口に転がし秋深む
340 暮れ残る宝珠の九輪古都の秋
341 デパ−トの師走の人の中に我
342 寒けれど大道芸に人だかり
343 健啖の媼と交はす菊の酒
344 担がれし畚に山盛り納札
345 短日の我が家真暗や旅戻り
346 目つむりて聞き耳立ててゐるマスク
347 シスターに習ひしケーキ聖夜待つ
348 紅葉舞ふ宇治十帖を訪ふ道に
349 採石に地肌あらはや眠る山
350 手漕ぎ舟鴨の浮き寝を妨げず
351 禿山と呼びしは昔鷹を待つ
352 皹の手を広げてみせて水仕かな
353 一病に弱音を吐きし年の暮
354 外来の藻を先づ除き池普請
355 山寺の釣瓶落としに暇乞ふ
356 思はざる衝動買ひもす年の暮
357 玲瓏の富士にまみえて牧閉す
358 家事雑事終へて一息蜜柑剥く
359 境内は猪のぬた場に踏み場なし
360 農仕舞煙枯野に棚引きぬ
361 豊作の柚子見目良きをおすそ分け
362 話し込み帰る夜道の良夜かな
363 鉤の束ベルトに括り年守る
364 節太の庭師の指や冬囲
365 学生の甲板作業布団干す
366 風に舞ふ鳥かと見れば枯葉かな
367 落葉踏む音を楽しみ鬼ごつこ