5月清記

5月15日締め切り分



Aグループ
A001 ゴルフ場減反田なり蒲公英黄
A002 緩やかに坂は曲がりぬ躑躅咲く
A003 恐る恐るミイラの寺に緑さす
A004 シベリアに捕はれし爺武者飾る
A005 コンビニの筍飯を心当て
A006 筍はすぐに茹でよと宅急便
A007 その昔不夜城なりし鮎の宿
A008 川風に羽ばたく百の鯉のぼり
A009 富士隠す雲吹き飛ばせ若葉風
A010 藤の影ゆれる白壁門跡寺
A011 通園の半袖短パン夏来る
A012 虎枝を炒めセロリの味がする
A013 藤棚に憩へば昨夜の雨零る
A014 鎌倉線入るや山の上懸かり藤
A015 若葉風たぐりつ登るケ−ブルカー
A016 空つぽのランドセル背に入学す
A017 富士山は淡く霞むや高架駅
A018 潜りたる天の岩戸や風若葉
A019 近道の山越え残花吹雪けり
A020 若葉冷え患者気難しくなりぬ
A021 突っ掛けし下駄のさらりと夏兆す
A022 緑陰や屋敷神へと石の橋
A023 風清し京の老舗に軒菖蒲
A024 達磨までころがつてゐる昼寝時
A025 透けるほど薄き器や新茶汲む
A026 田一枚揺るがして鳴く蛙かな
A027 躑躅咲く光悦垣の柵越へて
A028 夏帽やポニーテールのどうも邪魔
A029 目覚めたる垂糸海裳の咲きそむる
A030 聖五月老犬の乗る乳母車
A031 ひもすがら鶯を聞くゴルフかな
A032 遡る鮎よく見ゆる沈下橋
A033 脳トレを楽しむ初夏の夕食後
A034 新茶淹れ結婚記念日祝ひけり
A035 すくみたる足に屹立まむし草
A036 豌豆もぐ腰の袋の重たさう
A037 万緑の中に一筋水落ちる
A038 剥製のごと身じろがず神の鹿
A039 薔薇園に映ゆる洋館古河邸
A040 蜥蜴逃ぐ残す尻尾の捨て台詞
A041 薔薇の香の風にそよめく白髪かな
A042 風はらみ満足さうな鯉幟
A043 卯波寄す式部の歌碑の建立てる崖
A044 雪嶺を朝日を拝む山泊り
A045 裏口を明るくしたり若楓
A046 煙出しにほぐるる煙や春の月
A047 若葉影入れて緑に高瀬川
A048 撃ち合へるごとく山雀鳴き交す
A049 答案の埋めて安堵や窓若葉
A050 万国旗めける広場の鯉幟
A051 子供等の蓮華祭りや餅を買ふ
A052 新茶汲み昔のことをさりげなく
A053 夕虹やあしたの晴れを約すごと
A054 白藤に開け放ちたる書院の間
A055 子供らに交じり見真似の新茶摘む
A056 巫女捨ふ拝殿前の杉落葉
A057 寝静まる四囲の小雨や明け易し
A058 日を受けて産毛の光る実梅かな
A059 藤蔓に身をまかせたる古木かな
A060 鳥除けの畝のネットや花苺
A061 ハーブ園カレーの香なる苗を売る
A062 廓いま宿泊施設夏暖簾
A063 口惜しやだらりと垂れし鯉幟
A064 お濠へと漕ぎ出すボ−ト花見舟
A065 白きものすいとよこぎる蝶の昼
A066 突堤に並ぶ釣人鳥帰る
A067 隙きを見て糸引く蜘蛛や通り道
A068 里山のなぞえ山吹明かりかな
A069 仏前に先づはどうぞと新茶かな
A070 鉛筆を削りて春の真夜惜しむ
A071 窓はみな解き放たれて五月来る
A072 ここ痛しあそこが痒し明易し
A073 新樹光市のテントの白きかな
A074 貸農園取り残さるる植田中
A075 出句終へいろはにほへと新茶汲む
A076 居住まひを正し真向きや武具飾る
A077 江戸っ子にもめる築地の初鰹
A078 走り根に沿ひ筍の屏風立ち
A079 石斛の鉢を戸口に留守らしく
A080 もう死語になりしか里の水喧嘩
A081 風若葉ショートステイの窓辺かな
A082 谷戸風に尾を撥ね上げる鯉幟
A083 風薫る揺れる吊橋渡りきる
A084 神木は樹齢五百の樟若葉
A085 ハーブ園薔薇の紅茶を振舞はれ
A086 藤棚の広し花房まだ短か
A087 新緑や日比谷公園狭く見え
A088 拝礼の拍手余韻樟若葉
A089 日の射して百万本の薔薇にほふ
A090 鳥帰る唐招提寺に芭蕉句碑
A091 母の日や二人の母を振り返へる
A092 山容の定かならざる霞かな
A093 ねんごろに拭ふ仏壇母の日は
A094 倒木を猿渡りや野に遊ぶ
A095 飛花落花高瀬の川面埋めつくし
A096 推敲を重ね捨てる句春暑し
(Aグループ 投句者24名)
Bグループ
B001 きざはしに影さしかくる朴の花
B002 どぶ川のどこかで鳴ける蛙かな
B003 夏立つや車にぽとり鳥の糞
B004 割れて合い割れてまた合ふ瀑布かな
B005 幾重にも散り敷く色や藤の花
B006 久々に訪ふ母の日は好天気
B007 宮参り黒羽二重に緑さす
B008 子と犬を連れメーデーの後につく
B009 大輪の支柱に凭る白牡丹
B010 朝採りのたかんな剥けば日を返す
B011 二百戸の島にはためく鯉幟
B012 猫の子を咥え逃げ込む空き家裏
B013 莢豌豆皿一杯を空にしぬ
B014 躑躅山下山道脇野菜売り
B015 ぼうたんの花弁の中で虫喧嘩
B016 一輪車押して筍山下る
B017 掘りたての筍に人集まりぬ
B018 鍬疵の深く残りて今年竹
B019 護国寺の溝埋め尽くす花筏
B020 鯉幟島の灯台より高し
B021 主亡き庭を覆ひて梅は実に
B022 初夏の川下りゆく網代笠
B023 石畳菫びっしり埋めて咲く
B024 庭手入れ雲雀の声に手を止めぬ
B025 尼寺跡や礎石埋むる夏の草
B026 明日帰る子に好物の豆の飯
B027 薔薇の香の調べをなして須磨離宮
B028 きつね雨上野の牡丹真つ盛り
B029 海峡に水脈引く舟や除虫菊
B030 観音を祭り笑顔の甘茶かな
B031 薫風に玉砂利を踏む宮参り
B032 若葉してどちらの垣も初々し
B033 寝台を託つ庭石外寝かな
B034 聖五月異国に並ぶ十字墓
B035 白鷺の首傾げをり植田中
B036 病み上がり筍飯を少しずつ
B037 落人の里に武者絵の大幟
B038 筍の産毛に朝の雨光る
B039 筍を掘るスコップに総身乗せ
B040 鶯の清らな声とティーショット
B041 なめくじの通る姿は見ず終い
B042 やはらかき感触至福菖蒲の湯
B043 新潟や代田が続く地平線
B044 大広間大山蓮華只一輪
B045 長靴に田植えの泥を持ち帰る
B046 浜昼顔大地のラッパ何十も
B047 蕗剥きて天日干せる甘さかな
(Bグループ投句者14名)