11月15日締め切り分
Aグループ
A001 古墳口閉ざす鉄扉や草紅葉
A002 ダイレクトメール袋に種を採る
A003 連山に霧の濃淡層をなし
A004 我が家は男の家系七五三
A005 快心の穴場陣取り鷹を撮る
A006 今流行るインスタ映えの十三夜
A007 搾乳の灯の朝霧に滲みけり
A008 参道の喧噪越えて鹿の笛
A009 初霜やだみ声場外築地より
A010 小春日や寺に和讃のピアノ音
A011 深夜放送懐かしき夜長かな
A012 神の留守虚空を睨む矢大臣
A013 水の面に逆さ紅葉の色きそふ
A014 水澄める五十鈴の川で手を浄め
A015 赤らみてひょっとこ口の石榴かな
A016 大切な作務の一つや障子貼り
A017 谷川の滾つ瀬音へ落葉かな
A018 潮の香の島を漫歩の小春かな
A019 南半球に見る新緑の眼に痛し
A020 母と子の気の合ふ夜なべ針仕事
A021 霧ごめの秘湯の朝旅二日
A022 命綱頼みや老いの柿をもぐ
A023 羊腸の坂を山湖へ紅葉狩
A024 踝の埋まる銀杏落葉道
A025 押し花の柊の花なほ匂ふ
A026 古墳へと続く小径や木の実降る
A027 もしかして二期作かとも穭の田
A028 引越しにかてて加へて颱風来
A029 花鉢の向きを換へをる縁小春
A030 柿もぎの老爺に山の日傾く
A031 柿赤し檜原へ続く野面かな
A032 岸に上がり鳩と遊ぶや池の鴨
A033 採血が怖くて行けぬ冬来たり
A034 子規さんも酔へばこの色酔芙蓉
A035 神の留守なれど神馬は凛然と
A036 赤き実の枝を揺すりて鵙高音
A037 大平原大牧草地雲の峰
A038 沢水で障子を洗ふ山の寺
A039 朝まだき参道を行く秋遍路
A040 朝寒や背中丸めて襟を立て
A041 冬仕度スノーポールを塗りなおす
A042 陶卓に炸裂したる石榴かな
A043 不吉とも吉ともひびく鵙高音
A044 仏殿は紅葉明りに染まらざり
A045 母に手を足にぽっくり七五三
A046 目覚めたる戸を閉めなおす隙間風
A047 露の世や聳ゆ日露戦没碑
A048 賽銭箱鎖で繋ぐ神の留守
A049 朝な夕な落葉を掃きて寺暮るる
A050 セキリュティ厳しビルに石蕗の花
A051 台湾の原宿と言ひ秋暑し
A052 のすり来る色の増したる柚子の実に
A053 ヘッドライト消して観察星月夜
A054 円窓の障子貼替へ旧書院
A055 黄葉舞ふ松本楼のカフエテラス
A056 歌垣の里の戸毎に菊の鉢
A057 我が歩み知らぬや猫の日向ぼこ
A058 絵手紙の一言楽し文化の日
A059 柿の実のあらわとなりて花のごと
A060 栗落つるトーテムポール直撃し
A061 紅葉照る殊に歴代塔所かな
A062 作務僧の二人三脚障子貼る
A063 酒蔵の杉玉あらた新走り
A064 神主の袴干しある神の留守
A065 身に沁むや猛きサイレン救急車
A066 制服の写生の子らに銀杏散る
A067 長き夜やパソコンの冷え指先に
A068 停泊の船舷あやす波小春
A069 二毛作めく穭田の青々と
A070 抜きん出て風に抗ふ敗荷
A071 負ふた子に我が背越さるる秋うらら
A072 顰めつ面せる家康や菊人形
A073 秋薔薇青一色の空仰ぎ
A074 どんぐりを拾ひままごと仲間入り
A075 フィヨルドの岩壁数多の俄滝
A076 越の地の屋根にはしごの冬用意
A077 外つ宮の黒文字垣に秋惜しむ
A078 噛み切れず詠みきれざりし海鼠かな
A079 曲る畝直ぐなる畝の苅田かな
A080 幸せの日々を喜ぶ木の葉髪
A081 七五三写真のポーズ定まらず
A082 手に乗りし七五三の紙人形
A083 秋晴や木曽路に微笑む道祖神
A084 初霜の土橋に消ゆる獣の跡
A085 昇殿の親子神妙七五三
A086 石蕗の一景なせる日比谷苑
A087 赤膚の奈良絵の茶碗葛湯かな
A088 総入歯地酒も旨し湯豆腐も
A089 測量の杭の立ちたる草紅葉
A090 短パンの駆くる校庭冬立ちぬ
A091 風の意を受けて癖つく枯すすき
A092 文化の日天気清朗二重橋
A093 文机を俄かに月の膳となす
A094 宝前に障子横たへ貼りゆける
A095 野路の秋道に迷ふたかも知れず
A096 立ち並ぶ藁塚を眺めやバスの旅
（Aグループ 投句者24名）
Bグループ
B001 雨暗き森の小径のななかまど
B002 艶やかや大栗山と積む露店
B003 割木積み暖炉の火守り抜き
B004 軒借りしまま話し込む時雨かな
B005 公園に兵器庫の跡落葉散る
B006 降る銀杏ベンチの椅子取りゲームかな
B007 今日も又秋雨の朝鴉鳴く
B008 秋高し関東平野見晴るかす
B009 小雨降る空を灯すや秋の薔薇
B010 人面に仮装する月雲流る
B011 蒼鷹の一矢となりて野を射切る
B012 匂い艶ほっと一息今年米
B013 風に揺れ魔女めく案山子黒帽子
B014 林檎もぐ彼方此方の葉の裏に
B015 ビル群の谷に紅葉の御苑かな
B016 ベランダの手すりに頬杖星流る
B017 外苑のカフェのひととき銀杏散る
B018 苅田とて人影の無く野鳥降り
B019 嵯峨菊や僅かな愛を燃やすごと
B020 新胡桃レシピを付けていただきぬ
B021 瑞瑞し食べ放題のりんご園
B022 石畳雨の逃げ道草紅葉
B023 打敷を繕う妻の夜業かな
B024 灯油缶汚れ払ひて冬支度
B025 白樺の木々の間の青空や
B026 磐座の神樹に居つく蒼鷹
B027 木枯らしや筑波二嶺雲置かず
B028 裏小路見へ隠れする時雨傘
B029 郁夫描く青き砂漠よ星月夜
B030 永遠の美はないものか紅葉散る
B031 冠雪の霊峰拝み旅終はる
B032 交差点盲導犬の秋高し
B033 山国の苅田遠のく郷の道
B034 水草に止まる落葉や鳥遊ぶ
B035 蒼鷹の巣立つ気配の有りにけり
B036 走り根に掃き寄せられし木の実かな
B037 天空へ誘うカートや富士の山
B038 文化の日お新香受けるとて手のひらに
B039 鳴く虫や声は天使で名は閻魔
B040 野菊咲く岡に一基の志士の墓
B041 林檎もぎ楽しさあまり重き籠
B042 練塀の小路に入れば時雨けり
B043 一鉢の菊ありて我が思う郷
B044 芋堀りや母に送りぬ土のまま
B045 雲を連れ風を残して台風過
B046 花芒朝日に向かい勢揃い
B047 紅葉且つ散るグラウンド草野球
B048 秋日燦蝦蟇の膏を売る武士に
B049 秋麗母が差し出す万歩計
B050 姫気分紅葉めぐりの人力車
B051 裸木や向こうの村に赤鳥居
（Bグループ投句者14名）